2019/12/09 2020/03/01
投稿 : @tomo_k09
職種 :薬剤師
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抗インフルエンザ薬の違い・比較

 

インフルエンザの季節なので、復習がてら抗インフルエンザ薬の違いやその特徴についてまとめてみました。

 

 

主な抗インフルエンザ薬の違いとその特徴

抗インフルエンザ薬は、大きく分けて3つに分類できます。

 

1:ノイラミニダーゼ阻害薬

インフルエンザウイルスは、簡単にまとめると以下のステップで増殖します。

 

【インフルエンザウイルスの増え方】


  1. 細胞の中にインフルエンザウイルスが侵入する

  2. 細胞内でインフルエンザウイルスが自らの複製を大量に作る

  3. 細胞の外へ飛び出し、違う細胞に侵入する

  4. ステップ1〜3を繰り返して増殖していく

 

ノイラミニダーゼ阻害薬の作用機序

ノイラミニダーゼ阻害薬が作用するのは、ステップ3の「細胞の外へ飛び出し、違う細胞に侵入する段階」です。

 

インフルエンザウイルスが細胞内で増殖している段階では、ウイルスと細胞は結合しています。

 

で、次の細胞へウイルス乗り移るとき、ノイラミニダーゼと呼ばれる酵素が、細胞とウイルスの結合を切断して、インフルエンザウイルスは細胞の外へ飛びだし他の細胞に侵入していくというわけです。

 

ノイラミニダーゼ阻害薬は、ノイラミニダーゼの働きを阻害し、細胞とウイルスの結合が切断されないようにします。

その結果、インフルエンザウイルスが新たな細胞に侵入するを防げるというわけですね。

 

ノイラミニダーゼ阻害薬の種類

【オセルタミビル(商品名:タミフル)】


  • A型・B型インフルエンザに有効

  • 飲み薬タイプ

  • カプセルタイプとドライシロップの2種類が販売されている

  • 1日2回 5日間服用する

  • 使用実績が豊富

  • 吸入薬を使うのが難しい小児に使いやすい

  • 重症で生命の危機がある患者への第一選択薬として推奨されている

  • インフルエンザの予防に使われることがある

 

 

【ザナミビル(商品名:リレンザ)】


  • A型・B型インフルエンザに有効

  • 吸入タイプの薬

  • 1日2回 5日間吸入する

  • 喉の痛みが強くて飲み薬を服用できない人に向いている

  • 気管支喘息や COPD の患者には推奨されない(気管支攣縮の報告がある)

  • インフルエンザの予防に使われることがある

 

 

【ラニナミビル(商品名:イナビル)】


  • A型・B型インフルエンザに有効

  • 吸入タイプの薬

  • 1回の吸入で治療が終わるので利便性が高い

  • 喉の痛みが強くて飲み薬を服用できない人に向いている

  • ウイルス消失率はタミフルより優れている

  • インフルエンザの予防に使われることがある

 

 

2:キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬

先ほども書いた通り、インフルエンザウイルスは以下のステップで増殖します。

 

【インフルエンザウイルスの増え方】


  1. 細胞の中にインフルエンザウイルスが侵入する

  2. 細胞内でインフルエンザウイルスが自らの複製を大量に作る

  3. 細胞の外へ飛び出し、違う細胞に侵入する

  4. ステップ1〜3を繰り返して増殖していく

 

キャップ依存性エンドヌクレアーゼの作用機序

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬は、ステップ2の段階で作用する薬です。

 

インフルエンザウイルスは、RNAと呼ばれる遺伝情報からmRNA(メッセンジャーRNA)を作ります。

 

mRNAとは情報の運び屋で、mRNAの情報をもとにタンパク質が合成され、インフルエンザウイルスは増殖していきます。

 

インフルエンザウイルスがRNAからmRNAを作るときに重要な役割を果たすのが、キャップ依存性エンドヌクレアーゼです。

 

インフルエンザウイルスは、自身のRNAに「キャップ構造」というものがくっつていないと、ウイルス増殖に必要なmRNAを作ることができません。

 

インフルエンザウイルスは自身が持つキャップ依存性エンドヌクレアーゼによって、ヒトのmRNAからキャップ構造を奪い取り自身のRNAにくっつけます。

 

その結果、インフルエンザウイルスはmRNAからタンパク質を合成できるようになり、増殖していくというわけです。

 

【大まかな流れ】


  1. キャップ依存性エンドヌクレアーゼによって、ヒトのmRNAからキャップ構造を奪う

  2. 奪ったキャップ構造を自身のRNAにくっつける

  3. インフルエンザウイルスのmRNAが作られる

  4. タンパク質が合成され、インフルエンザウイルスが増殖する

 

ここから分かることは、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの作用を阻害すれば、インフルエンザウイルはmRNAからタンパク質を合成できなくなるので増殖できなくなるということです。

 

このような考えから開発されたのが、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬です。

 

つまり、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの働きを阻害して、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する薬というわけです。

 

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬の種類

【バロキサビル(商品名:ゾフルーザ)】


  • 飲み薬タイプ

  • 1回だけの服用で治療が終わるので利便性が高い

  • 錠剤と粉薬の2タイプが販売されている

  • A型・B型インフルエンザに有効

  • タミフルとの比較試験では、同等の効果があるとの報告がある

  • 使用実績が少ないので、報告されていない副作用の発生リスクを否定できない

 

 

3:M2タンパク阻害薬

繰り返しになりますが、インフルエンザの増殖過程はこんな感じです。

 

【インフルエンザウイルスの増え方】


  1. 細胞の中にインフルエンザウイルスが侵入する

  2. 細胞内でインフルエンザウイルスが自らの複製を大量に作る

  3. 細胞の外へ飛び出し、違う細胞に侵入する

  4. ステップ1〜3を繰り返して増殖していく

 

M2タンパク阻害薬の作用機序

インフルエンザウイルスは、ヒトの細胞へ侵入した後、自身のRNA(遺伝情報)を細胞内に放出します。

 

この過程を専門用語で脱核(だっかく)と呼び、脱核にはM2タンパクが重要な役割を果たしています

 

ここから分かることは、M2タンパクの働きを阻害してやれば、インフルエンザウイルスは脱核できなくなるので、インフルエンザウイルスの増殖を抑制できるということです。

 

このような考えをもとに開発されたのが、M2タンパク阻害薬です。

 

つまりM2タンパク阻害薬は、インフルエンザが脱核するのを阻害することにより、インフルエンザウイルスが増殖するのを抑える薬というわけですね。

 

ちなみに、M2タンパク阻害薬はA型インフルエンザのみに有効で、B型インフルエンザには効果がありません。

これはB型のインフルエンザウイルスがM2タンパクを持っていないためです。

 

M2タンパク阻害薬の種類

【アマンタジン(商品名:シンメトレル)】


  • A型インフルエンザのみに有効

  • 現在はノイラミニダーゼ阻害薬が主流なので使われることはほとんどない

  • パーキンソン病に伴う手足の震えや筋肉のこわばりに使用される

  • 脳梗塞後に低下した意欲・自発性を改善させる

  • 動物実験において胎児の奇形が報告されているので、妊婦・妊娠可能性のある女性は使用できない

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この記事を書いた人

名前:tomoyuki kato

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オンライン薬局では薬剤師兼エンジニア、リアル店舗では在宅医療に従事しています。英語が得意でTOEIC900点・通訳案内士資格取得。プログラミングが好き(Rails・Vue.js) 。個人でWebサービスの開発もしています。 薬や英語学習、プログラミング、働き方に関するツイートがメイン。

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