アルツハイマー型認知症治療薬について、簡単にまとめてみました。
アルツハイマー型認知症治療薬は、大きく分けて2種類に分類できます。
それが
です。
まずは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬から。
ヒトの記憶には、アセチルコリンと呼ばれる情報を伝達する物質が大きく関与しています。
アルツハイマー型認知症の特徴は、脳にβアミロイドと呼ばれるタンパク質が蓄積していくこと。
βアミロイドが脳に蓄積していくと、記憶に関与する海馬という場所で情報を伝達しているアセチルコリンが少なくなってしまいます。
その結果、情報のやりとりが行われにくくなり、「記憶がすっぽりと抜け落ちる」といったアルツハイマー型認知症の症状が現れるようになるというわけです。
ここから分かることは、アセチルコリンの量を増やせれば、アルツハイマー型認知症の症状を改善できるということです。
脳内では、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)と呼ばれる酵素が、アセチルコリンを分解しています。
つまり、アセチルコリンエステラーゼの働きを抑えてやれば、アセチルコリンの量が減りにくくなるのです。
このような考えにより開発されたのが、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬です。
主なアセチルコリンエステラーゼ阻害薬としては、以下のようなものがあります。
アリセプト(成分名:ドネペジル)の特徴
レミニール(成分名:ガランタミン)の特徴
イクセロン・リバスタッチ(成分名:リバスチグミン)の特徴
【補足】
レビー小体型認知症の主な症状
軽度アルツハイマー型認知症の主な症状
中等度アルツハイマー型認知症の主な症状
重度アルツハイマー型認知症の主な症状
NMDA受容体の作用機序を学ぶ上で重要なのが、ヒトの記憶を伝達する物質であるグルタミン酸です。
何かを記憶しようとしている時、グルタミン酸は大量に放出されるようになります。
例えば、勉強して何かを覚えようとしている時に、グルタミン酸は放出されるというわけです。
アルツハイマー型認知症では、グルタミン酸が過剰に放出された状態になっています。
「グルタミン酸がたくさん放出されるなら、いろんなことを覚えられて良いじゃん」と思うかもしれないですが、グルタミン酸がたくさん放出されたとしても記憶力が高まることはありません。
なぜなら、グルタミン酸は「記憶をするか・しないか」の区別をするだけだから。
ざっくりいうと、「グルタミン酸が出ているときは記憶する」、「グルタミン酸が出ないときは記憶しない」というように区別しているわけです。
そのため、グルタミン酸が過剰に放出された状態だと、脳は何を記憶をすれば良いのか分からなくなってしまいます。
つまりグルタミン酸の過剰な放出を改善してやれば、ちゃんと記憶できるということです。
NMDA受容体拮抗薬は、NMDA受容体をブロックしてグルタミン酸の過剰な流入を防ぎます。
より具体的に言うと、グルタミン酸が過剰に放出されていれば、NMDA受容体(グルタミン受容体)をブロックし、正常な量であればブロックしないという、弱いNMDA受容体拮抗作用によって、アルツハイマー型認知症に対して有効なのです。
2020年1月現在、NMDA受容体拮抗薬はメマリー(成分名:メマンチン)だけです。
メマリー(成分名:メマンチン)の特徴
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