2020/01/01 2020/04/16
投稿 : @tomo_k09
職種 :薬剤師
125 views

アルツハイマー型認知症治療薬の違い・比較【まとめ】

 

アルツハイマー型認知症治療薬について、簡単にまとめてみました。

 

 

アルツハイマー型認知症治療薬の種類とその特徴

アルツハイマー型認知症治療薬は、大きく分けて2種類に分類できます。

 

それが


  • アセチルコリンエステラーゼ阻害薬

  • NMDA受容体拮抗薬

です。

 

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の作用機序

まずは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬から。

ヒトの記憶には、アセチルコリンと呼ばれる情報を伝達する物質が大きく関与しています

 

アルツハイマー型認知症の特徴は、脳にβアミロイドと呼ばれるタンパク質が蓄積していくこと。

 

βアミロイドが脳に蓄積していくと、記憶に関与する海馬という場所で情報を伝達しているアセチルコリンが少なくなってしまいます。

 

その結果、情報のやりとりが行われにくくなり、「記憶がすっぽりと抜け落ちる」といったアルツハイマー型認知症の症状が現れるようになるというわけです。

 

ここから分かることは、アセチルコリンの量を増やせれば、アルツハイマー型認知症の症状を改善できるということです。

 

脳内では、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)と呼ばれる酵素が、アセチルコリンを分解しています。

 

つまり、アセチルコリンエステラーゼの働きを抑えてやれば、アセチルコリンの量が減りにくくなるのです。

 

このような考えにより開発されたのが、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬です。

 

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の種類と特徴

主なアセチルコリンエステラーゼ阻害薬としては、以下のようなものがあります。

 

アリセプト(成分名:ドネペジル)の特徴


  • 重症度に関係なく使える薬

  • 1日1回服用タイプ

  • 普通錠、口腔内崩壊錠(口の中で溶ける)、ゼリー、ドライシロップの4種類が販売されている

  • アルツハイマー型認知症だけでなく、レビー小体型認知症にも使われる

  • 認知症にともなう不安・抑うつも和らげる

  • あくまでも症状の進行を遅らせる薬

 

レミニール(成分名:ガランタミン)の特徴


  • 軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症に使われる

  • 1日2回服用タイプ

  • 普通錠、口腔内崩壊錠(口の中で溶ける)、液体タイプの3種類が販売されている

  • あくまでも症状の進行を遅らせる薬

 

イクセロン・リバスタッチ(成分名:リバスチグミン)の特徴


  • 軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症に使われる

  • 貼り薬のみ販売

  • あくまでも症状の進行を遅らせる薬

 

 

【補足】

レビー小体型認知症の主な症状


  • 会話や周りの状況への理解力が日によって大きく変わる

  • 実際にないものが見える(幻視)

  • 体の動きが遅くなる、手が震えるなど(パーキンソン症状)

 

軽度アルツハイマー型認知症の主な症状


  • 約束ごとを忘れる

  • 物を置き忘れる

 

中等度アルツハイマー型認知症の主な症状


  • テレビや雑誌などに関心がなくなる

  • 最近あった出来事をすっかり忘れてしまう

 

重度アルツハイマー型認知症の主な症状


  • トイレの水を流せない

  • 入浴を嫌がる

  • シャツのボタンを留められない

 

 

NMDA受容体拮抗薬の作用機序

NMDA受容体の作用機序を学ぶ上で重要なのが、ヒトの記憶を伝達する物質であるグルタミン酸です。

 

何かを記憶しようとしている時、グルタミン酸は大量に放出されるようになります。

 

例えば、勉強して何かを覚えようとしている時に、グルタミン酸は放出されるというわけです。

 

アルツハイマー型認知症では、グルタミン酸が過剰に放出された状態になっています。

 

「グルタミン酸がたくさん放出されるなら、いろんなことを覚えられて良いじゃん」と思うかもしれないですが、グルタミン酸がたくさん放出されたとしても記憶力が高まることはありません。

 

なぜなら、グルタミン酸は「記憶をするか・しないか」の区別をするだけだから

 

ざっくりいうと、「グルタミン酸が出ているときは記憶する」、「グルタミン酸が出ないときは記憶しない」というように区別しているわけです。

 

そのため、グルタミン酸が過剰に放出された状態だと、脳は何を記憶をすれば良いのか分からなくなってしまいます。

 

つまりグルタミン酸の過剰な放出を改善してやれば、ちゃんと記憶できるということです。

 

NMDA受容体拮抗薬は、NMDA受容体をブロックしてグルタミン酸の過剰な流入を防ぎます。

 

より具体的に言うと、グルタミン酸が過剰に放出されていれば、NMDA受容体(グルタミン受容体)をブロックし、正常な量であればブロックしないという、弱いNMDA受容体拮抗作用によって、アルツハイマー型認知症に対して有効なのです。

 

NMDA受容体拮抗薬の種類と特徴

2020年1月現在、NMDA受容体拮抗薬はメマリー(成分名:メマンチン)だけです。

 

メマリー(成分名:メマンチン)の特徴


  • 中等度・高等度の認知症に使われる

  • 1日1回服用

  • 普通錠、口腔内崩壊錠(口の中で溶ける)、ドライシロップ

  • アセチルコリンエステラーゼ阻害薬に比べて、めまいの副作用が出やすい

  • 認知症にともなう興奮・攻撃性も和らげる

  • あくまでも症状の進行を遅らせる薬

参考になったら『いいね!』を送ろう

2

この記事を書いた人

名前:tomoyuki kato

職種:薬剤師

@tomo_k09

https://t.co/77U1...

オンライン薬局では薬剤師兼エンジニア、リアル店舗では在宅医療に従事しています。英語が得意でTOEIC900点・通訳案内士資格取得。プログラミングが好き(Rails・Vue.js) 。個人でWebサービスの開発もしています。 薬や英語学習、プログラミング、働き方に関するツイートがメイン。

みんなのコメント

ログインしてコメントをしませんか?